この無限ループからの卒業……出来ると思ったかそいつは幻だ

240/283
前へ
/292ページ
次へ
ちなみに印刷室には、前述したように嫌われ者の講師だけではなく、シルバーの方々も何人かいらっしゃる。 なので、合計で、10人以上が印刷室で働いている計算だ。 で、あれば――読者の皆様はこう思うのではなかろうか? 「え?10人以上なら、手丁合いだってそこそこ早く終わるんちゃう?」 「テキストが1000冊あったとしても、1人100冊頑張ればいいんだし、そこまで多くないんじゃない?筆者さん大袈裟過ぎ(笑)」 とかね。 うん、そう、本当にそれな。 印刷室で勤務している人が全員、ちゃんと仕事をしていてくれれば、手丁合いだって、確かに早く終わっただろう。 んがっ! この印刷室勤務、まともに仕事してる奴が異様に少ないのである。 先ず、印刷室に移動させられた講師達についてだが。 最初は嘆いたりしていたものの、基本的には皆、めちゃめちゃ真面目に仕事をしているのだ。 だが、ある日、気付いてしまうのである。 印刷室勤務ってね? 誰の監視の目も無いんだわ。 地下だから上層部も滅多に確認に来ないの。 しかも、後述する予定だが、同僚であるシルバーの皆様はお茶ばかりしてほぼ仕事をしていない。 そうすると、印刷室勤務の講師の一部は、ある悟りを開いてしまう。 それは――。 「あれ?これ、仕事しなくていいんじゃね?」 と。 元より、印刷室勤務にさせられているのは上層部の無茶な命令が原因だ。 確かに仕事が終わらなければ講師は叱られるだろうが――そもそも、印刷室勤務自体が有り得ない業務なのだから、何か言われたら、最悪辞めてしまえば良い。 こんな悟りを開いてしまう講師が、数人発生するのである。 そうなると、後はもうお察しの通りだ。 印刷室に来ても一切仕事をしなくなり、シルバーの方々とお茶を飲みながら、堂々と漫画を読んだりしているのである。 中には、仕事をしている講師達が、 「テキストが完成しないと生徒さんや保護者さんに迷惑をかけちゃうよ?」 と、注意をすることがあるが、彼らは全く耳を貸したりしない。 寧ろ、 「俺達は授業も持ってないんですよ?生徒が困ることで、俺達に何か困ることってあります?」 なんて言って来ちゃったりするのだ。 こうなると、この講師はもう駄目である。 マジで一切使い物にならない。 ある意味ではメンタルが強いのか――印刷室を自分の部屋代わりにして、毎日仕事もせず、好きに寛いでは、自分がサボっているのが上層部にバレないよう残業をし、帰宅する、という毎日を送るようになるのである。 ちなみに、残業とは書いてあるが、本当に残業をする訳ではない。 印刷室に残って、適当な時間までだらだらしていくだけである。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2195人が本棚に入れています
本棚に追加