この無限ループからの卒業……出来ると思ったかそいつは幻だ

244/283
前へ
/292ページ
次へ
そんなヤバイOFヤバイなシルバーさん達。 だが、彼らがある日、とんでもないトラブルを引き起こしてしまう。 それは、ある朝のことだった。 いつも通り、朝早くに印刷室に出勤しようとする筆者君。 すると、いつも静かな筈の印刷室から、何やらでっかい騒ぎ声がする。 (シルバーさんがインク交換に失敗したのかな?) それとも、印刷したての紙をうっかり触ってインクが大量についてしまったか。 だが、どんな理由にしろ、きっと下らない理由で騒いでいるのだろう。 筆者君は脳内で勝手にそう決めつけると、印刷室のドアに手を伸ばす。 が、中から聞こえてきた単語に筆者君は固まった。 「何とか言いなさいよ、この泥棒猫!」 「失礼ね!あんたこそ泥棒猫じゃない!吉右衛門さんは私とお付き合いしてたのよ!」 あ、これ入ったらアカンやつだ。 ドアの中から聞こえて来た単語に、筆者君は瞬時に状況をそう判断する。 が、しかし! 印刷室が勤務先である筆者君にとって、そこに入らないという選択肢はない。 (くっ……!南無三!) 巻き込まれる覚悟を決めて、現在絶賛お修羅場行進曲中であろう印刷室にダイブする筆者君。 その中で繰り広げられていたのは、予想より凄まじい光景だった。 「この泥棒猫!泥棒猫!」 「何よ、この淫売!!」 そう叫びながら、2人の高齢のご婦人が取っ組み合っているのである。 (地獄かな?) 思わず帰りたくなる筆者君。 けれど、神は筆者君の帰還を許してはくれなかった。 「筆者君!助けて!この泥棒猫が私から吉右衛門さんを奪おうとするのよ!」 「何言ってるの?!吉右衛門さんは私を選んだのよ!」 わしをその、印刷室のどろどろ泥沼トライアングルラブに組み込まないで欲しい。 と言うか、そもそも――。 「皆さん、既婚者でしたよね?」 確か、それぞれの旦那様や奥様もご健在だと思っていたのだが。 すると、そんな筆者君を睨み付けるご婦人2人。 「いるわよ?!だから?!結婚している人間は恋愛しちゃ悪いっていうの?!」 いやいやいやいや、悪いでしょ。 不倫やん、めっちゃ不倫やん。 けれど、現在絶賛恋愛中なご婦人達はそんなこと一切気にしていないようで――。 「私はね、そもそも今の旦那には飽き飽きしてたのよ!吉右衛門さんなら私を女としてみてくれるの!!久しぶりなのよ!女として愛されたのは!!」 等と全力で叫んでくる。 いいのかなぁ? この方、上層部――しまちゃんのママなんじゃけど。 うーん、わし、止めるべき?
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2195人が本棚に入れています
本棚に追加