この無限ループからの卒業……出来ると思ったかそいつは幻だ

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(いやいや、あんたら直帰したいだけじゃんよ) 筆者君は内心、そう突っ込みを入れる。 が、そんな筆者君の内なる声が聞こえる筈もなく――不倫トライアングラー達は、着々と配送の準備を進めていった。 ちなみに、本来配送は1人でいくものだが――今回は3人で行く許可も出てしまう。 何故なら、伊勢崎校の荷物がマジで多いから。 あれはね、確かに筆者君みたいな成人男子でも1人では無理だと思う。 え?車? そんな物、上層部様が許してくれる訳がない。 ガソリン代とか高いしね! 社員は基本、電車等の公共の乗り物で通勤するのだ! そう――それがどれ程沢山の荷物を抱え、物理的に無理・無茶・無謀であったとしても! てな訳で、本来、余りに印刷物が多い時の電車での移動は超大変であり……だからこそ、複数人で移動することが許されているのである。 だが、しかしっ!! 筆者君は偶然トイレの窓から見てしまった! 「吉右衛門さん、誰もいないわよ!」 「よし、じゃぁ今の内にトランクに入れて!出発するよ!」 「わかったわ!」 なぁ~んてやり取りをしながら、不倫トライアングラー達が、本部の真裏にある本屋の駐車場に停めてあるバンに荷物を詰め込んで、走り去っていくのを。 (あ、あ、あいつら……!) 確か、シルバーさん達には配送で移動する際、別途、事前に経路を申請して貰い、後日その経路に合わせた交通費が支給されていた筈である。 そうして、今回も――先ほど、筆者君はシルバーさん達が経理に経路を申請する姿を目撃していた。 が、そんな彼らは今まさに筆者君の目の前でバンで走り去っていったのである。 ちなみに、勿論3人乗りで。 (……えー。これ、交通費の騙しとりとかになるんじゃなかろうかね?) 社内不倫に交通費の騙しとり。 不倫トライアングラー達の罪がジェンガのように積み重なっていく。 というか、去り際に――。 「吉右衛門さぁ~ん?行きにマック寄って行きましょ~!私、シェイク飲みたい~!」 「なら私、アップルパイ~!」 「よ~し!どっちもご馳走しちゃうぞ~!」 なんてヤベェやり取りが聞こえた気がする。 (めっちゃデート気分だったけど、大丈夫かな?) 何かやらかさないと良いんだが――。 筆者君は、今日の残された時間が平穏に過ぎ去るよう心から祈りつつ、仕事に戻った。
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