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「よ、嫁ちゃんっ!今、母さんからかくかくしかじかな話を聞いたんだけど!嘘だよね?!君に限って僕を裏切ってる筈なんかないよね?!」
半ば叫ぶようにして、電話越しに自分の嫁にそう伝える島ちゃん。
ちなみに、彼は嫁の潔白を信じていたのか――そうして、それを自分の母親に聞かせたかったのか、電話をスピーカーモードにしていた。
つまり、聞きたくなくても筆者君達には島ちゃんの嫁――略して島嫁の返事が聞こえてしまう訳だが。
「ハァ?マジ?お義母さんバラしたの?最悪」
島ちゃんからの質問に、分かりやすく不愉快さをあらわにしながらそう答える島嫁。
(っていうか、「バラしたの?」ってことは、もしかして――?)
島嫁のその台詞に、筆者君の全身を一気に嫌な予感が駆け抜ける。
すると、周りの講師達も同じ気持ちになったのか、皆固唾をのんで島ちゃんの会話の成り行きを見守っていた。
「ば、バラしたのって……はは……冗談だろう?ど、どういうことだよ?わ、分かるように説明してくれよ。い、いや、君お得意のいつものジョークかな?島ちゃん分かっちゃったぞぉ!ジョークだな?!ジョークだよね?!びっくりしたなぁもう!」
そうでもしないとやってられないのか――半ば無理矢理自らのテンションをぶち上げながら、叫ぶようにそう告げる島ちゃん。
と、そんな島ちゃんの言葉を容赦なく島嫁が遮った。
「あんたのそういうところがウザイのよ!!!」
嫁の突然の怒鳴り声にビクッとなり、島ちゃんは全身を縮こまらせる。
けれど、一度たがが外れてしまったからだろうか――そこからの島嫁は、まるで壊れたスピーカーかテープレコーダーのように、大声で島ちゃんへの不満を吐き出し続けた。
「托卵でも出来なきゃあんたみたいなキモいマッチョと結婚する訳ないでしょ!鏡見てみなさいよ!調子に乗るんじゃないわよ!だいたいね、普段からなんちゃらマウスやら腹話術みたいなことして!見るだけで気持ち悪いの!吐き気がするのよ!正直、生理的に無理!」
まぁ、講師達もたまに「キモい」は思っていたけれど。
けれど、けれども――。
ここまで突きつけたいとは思ってなかったぜ。
自らの嫁から、罵詈雑言の集中砲火を浴びて、またまたまた膝から床に崩れ落ちる島ちゃん。
この姿を見るのは、実に本日3度目位な気がする。
だが、しかし――!
島ちゃんを待ち受ける地獄の時間は、まだまだ始まったばかりだったのだ――!
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