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「…果物いかがですか?新鮮なオレンジがありますよ!バルベーラはワインにおすすめです!いかがですか?」
エメラはウンディアで一番人通りの多い、太陽橋の上で右往左往する人の流れに声をかける。
活気に満ちる街は騒々しい。エメラの高めの優しい声はどうしても街の騒音にかき消され人の耳には届きにくい。
「お、お嬢さん!果物を売ってるの?」
「はい!何をお求めですか?」
「…そうだなぁ、ではこちらのラ・フランスをもらうよ。」
「8ネピアです。」
「はいよ。」
一人のスーツの似合う紳士的な男性が足を止めてエメラから果物を購入する。すると紳士はエメラの目を見て少し驚く。
「おや?お嬢さん。目が…左右で違う色をしているんですねぇ。」
「あぁ、これは生まれつきで。両親が両目が茶色なんですが、私は片目がこの翡翠色で。それで《エメラ》って名付けられてます。」
「なるほどなぁ、そんなエメラちゃんもう一つ、もらうよ。」
「ありがとうございます!」
お昼の太陽の高い時間を過ぎて今度は夕方になるとまた人通りは変わってくる。
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