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結局エメラはステンを見つけることもできぬまま、家路に。
家に帰れるといつもの家が待っていた。
「エメラ、おかえり。」
「エメラ…悪いんだけど、この果実をまた一緒に街で売ってくれないかしら?」
「は、はい。」
エメラはまだ現実の中で彷徨っていた。もう一つの世界に残された宝石に、現実での問題点。
解決しないといけない問題は山済みというか、次元を越えていた。
エメラは街に繰り出し、果実を売る。日が暮れる頃に今日はよく売れたので126ネピアの売上を手に家に帰る。
暗くなる空。星を見た。『ミラージュ』の世界に落ちた時を思い出していた。
「…不思議な世界だったな…。鏡の中の世界。」
エメラは外を見ているとふと黒い夜空に黒い影が。
「?」
視線を細めてみると、黒い紐だ。でも何で建物の上に。まるで夜の色に溶け込ませる為のもののようだ。バルーンでも上げるのだろうか?今日は大型のショッピングセンターの中は手の出ないブランド品が集まる。
しかし、黒い紐と一緒に出てきたのは人の姿だ。
「…何で?」
エメラは次々と現れる人に違和感を覚えた。急いで近くの電話BOXに駆け込んだ。
「もしもし!警察ですか?ええ、大型のショッピングセンターの屋根に人影が。はいはい。」
エメラの通報で警察車両が沢山やってきた。
警察の人々に黒い服の人たちは見つかり慌てて逃げる。そして何人もが取り押さえられた。
その中の一人があのアンバー刑事だ。
「アンバー刑事!彼は最近、ここらを荒していた強盗団です!残りは4名ですが、既に離れたかと。」
「探せ!一人も残すな!」
アンバーの指示で警察官が辺りに散り散りに。
「…通報の電話…まさか君か。」
「アンバー刑事。」
通報があった電話を元にアンバーがエメラの元へ。大きな腕がエメラの頭へ。エメラは思わず目を瞑った。しかし今度の手は優しかった。
「勇気ある行動に…感謝する。」
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