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こうして三人がアンバー刑事の活躍によって捕まった。同刻。一人は今も東に逃げていた。
しかし東には徐々に入り組んだ背の高い建物はその数を減らして、背の低い大きな倉庫が増えて、隠れるところも少なくなる。
強盗団の一人は倉庫の屋根を駆け抜けると、地面に降りた。すぐに光が強盗団を照らそうとする。
「居たぞ!こっちだ!」
光から逃げるように強盗団は走っていく。
そして建物はおろか、道すらなくなっていく。ここから先は川の出口。つまり海だ。
「よし!追い込んだぞ!」
警察達は四方から強盗を追い込んでいく。しかし強盗は意を決して自らを海の方へ。
「何だと!?」
「逃がすか!」
驚きながら警察の一人が拳銃を発泡する。弾が強盗を掠める。そして強盗は海へ落ちた。
「探せ!」
「どこだ!?」
ライトで照らされた水面。しかし、暗さもありまるで水の中は見えず、あたりも何も無い。
じんわりじんわり、赤い血が海に染み出して消えていく。それすら分からないほど暗く見えない。
「…見失ったか。」
「仕方ない。」
警察達は渋々その場を離れた。
そして後れてここへ来たのがエメラだ。
「はぁ…はぁ…。あー、…なんで…来ちゃったのかなぁ…。」
《…でも…何だろ…この胸騒ぎ。》
エメラは辺りを見渡しながらゆっくりと倉庫の間を抜けて、海の前に。
すると、
「…ぐ、がはっ!…はっ!?」
「?」
むせ声をしながら水から身体を出す人物。黒い服を来た強盗だ。腰に手を当てて血を押さえている。そして顔を上げるとエメラと目が合う。
エメラは言葉を失った。それは…そこにはエメラの知る人物がいたからだ。
「…ステン…君?」
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