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「そろそろ終わりにして、鍋の準備をしないか?」
進藤が伸びをしながら言った。
気がつくと、もう五時過ぎ。なかなか集中して勉強していたわ。
「そうだね」
「と言っても、準備はあらかたできてるんだけどな」
「進藤って料理できるの?」
「普通に自炊してるけど? カニ見るか?」
「見る!」
わくわくしてキッチンへ行く進藤の後をついて行く。
彼が冷蔵庫を開けると、中央の棚に大きなズワイガニ様が鎮座していらした。
「すごい! 立派!」
「だろ? こんだけ大きいからいろんな食べ方ができるぞ。どうする? 刺し身、焼きガニ、カニ鍋、甲羅酒、雑炊……」
魅惑的な言葉の数々に、じゅるりとよだれが垂れそうになる。
「ぜんぶ!」
「全部か! 欲張りだなぁ。わかった」
破顔した進藤がズワイガニを取り出した。
その下の段には、白菜やネギや人参などの切り揃えた野菜が大皿に盛ってある。
「野菜は用意してあるから、カニの準備をするか」
「うん!」
進藤が手際よくカニを解体していく。
座って待ってていいと言われたけど、そういうわけにはいかない。
私は殻に切れ目を入れる役を手に入れた。
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