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『一人じゃ食べ切れないなぁ。せっかく新鮮で刺し身でも食えるやつなんたけど、腐らせちゃうかもな〜』
それは聞き捨てならない。
『何時から?』
『二時はどうだ?』
『いいわよ』
『じゃあ、駅まで迎えに行くから、東改札口で待ってて』
『わかった』
犬が尻尾を振っているスタンプが送られてきた。
自分でもワンコな自覚があるのかとちょっとおかしい。
(進藤に乗せられるのは癪に障るけど、カニを救出せねば!)
明日の使命を思うと、顔が緩んでくる。
私はご機嫌で資料作成を進めた。
土曜の二時十分前に進藤の最寄り駅に着いた。
彼の家はなにげに近くて、隣駅だ。
同期会のたびに帰りが一緒になるから、それは知っていたけど、当然、ヤツの家に行くのは初めてだ。
東改札口に行くと、進藤はすでに待っていて、私を発見して顔を輝かせた。
「よく来たな、夏希」
進藤は最近、二人のときは夏希と呼ぶようになった。
許可してないのに。
まぁ、目くじらを立てるほどのことではないから放置しているけど。
こっちだ、と誘導する進藤についていくと、十分ほどで、小綺麗なマンションに着いた。
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