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これに課長も感銘を受けて、プロジェクトを再考することに決まったのだ。
まだ基本構想の段階だったからできることだった。
(今の段階で、方向転換できてよかったわ)
基本構想は、まだぺらり一枚の見栄えのいい絵とテーマがあるだけだ。それが具体的になってきたら、基本計画に移り、基本設計、実施計画、実施設計、施工になる。
当たり前だけど、先に進むほど、変更は難しくなる。
打ち合わせの帰り際、笹本さんが笑いながら言った。
「実はこのプロジェクトに母が猛反対していてな、『あの別荘と同じ間違いを犯す気か?』って言うから、そのまま君たちにぶつけてみたんだ」
進藤と私は顔を見合わせた。
お母さんは地元の商工会議所のオブザーバーで、なかなかの影響力がある。
笹本さんとお母さんに反対されていたら、このプロジェクトは大揉めに揉めただろう。
ほっと胸を撫でおろした。
「正解にたどり着けてよかったです。で、あの別荘
どうします?」
「教訓のためにもうしばらく持っていようかな」
進藤の質問に、笹本さんは苦笑して答えた。
私が回想している間にも、進藤からメッセージが続く。
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