504人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、勉強しよう」
私は早速テキストを広げる。
「今、なにをやってるんだ?」
「民法のところ。宅地建物取引士の試験もそう思ったけど、問題がドロドロしてるよね?」
「そうだな。Aに恨みを抱いていたXがYを言いくるめて土地の所有権移転登記手続きしたり、BはCから乙不動産をだまし取ろうと考え……とか」
「推理小説みたいよね」
土地や建物が絡むと、どうしても大きなお金が動くし、遺産相続で揉めることも多いので、こうした問題ばかりになってしまうんだと思う。
二人で顔を見合わせ、苦笑いをした。
「進藤は?」
「俺は経済学の短答試験の過去問。結構、数学的要素が多いだろ? 復習しておこうと思って」
「確かに! 公式とかもう忘れちゃってたわ」
せっかく勉強会なんだからと、私も経済学の方を勉強することにして、二人で真面目に勉強した。
わからないところをすぐ聞けるというのはいいけど、やっぱり一方的に教わるのが腹立たしい。
(民法のところを完璧にして、今度は私が進藤に教えてやるんだから!)
新たな意欲が湧いてきたのも勉強会の成果かもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!