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(私、焼きガニが一番好きかも!)
ふと気づくと、口の中に広がる幸せの味に身悶えている私を進藤が楽しそうに見ていた。
恥ずかしくなった私は、ヤツの口に焼きガニを突っ込んでやった。
「甲羅酒、味見してみるか?」
カニ鍋に舌鼓を打ち、だいぶ満腹になってきた頃、進藤が言った。
ホットプレートの上で、カニ味噌の入った甲羅に日本酒を入れて育てていたのだ。
「する!」
お酒を控えていた私は当然、甲羅酒なんて呑んだことはない。
でも、カニ味噌は大好きだし、日本酒は嫌いではない。それが合わさったら、どんな味になるんだろう?
お猪口に注いでもらった甲羅酒をすすってみる。
(なにこれ、なにこれ、美味しい! カニ味噌の濃厚さと炙った甲羅の風味がお酒にうつって、いくらでも呑めそう!)
思わず、ごくごく呑み干してしまう。
「おかわり!」
「おっ、気に入ったのか? 呑みすぎるなよ」
そう言いながらも進藤がおかわりを注いでくれる。
「うん、大丈夫。本当はお酒呑めるし」
「そうなのか?」
それを証明するように、くいっと杯を空ける。
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