後片づけ

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後片づけ

「はああ〜、食べたぁ。美味しかった〜」  私は幸福感に満たされて、溜め息をついた。  こんなに美味しいもので満腹なんて、本当に贅沢。  進藤も満足そうにニコニコしている。    ちょこっと休んだら、お皿を重ねて、片づけ始める。  乾くとカピカピになっちゃうし、ね。 「あぁ、いいよ。片づけはやっとくから、休んでな」 「そういうわけにはいかないわよ」  上げ膳据え膳なんて、居心地が悪くて嫌だ。  お皿を台所に持っていくと、進藤が腕をまくった。 「じゃあ、俺が洗うから、夏希は拭いてくれ」 「わかった」  渡された布巾を持って待機していると、進藤がにまにま笑った。 「なに?」 「いや、こうしてるとさ〜」 「ん?」 「なんでもない」  顔を赤らめて、手元に目線を落とすヤツは意味不明だ。  でも、機嫌よさそうにお皿を洗っているから、実は洗い物が好きなのかもしれない。 (いい旦那さんになりそうだなぁ)  妹がいるからか、面倒見もいいし。  あれ? お兄ちゃんもいるって言ってたかも。  まぁ、私には関係ないけど。 「ねぇ、このお皿ってここにしまえばいいの?」 「そう、そこ」
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