出張

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「え、なに?」 「なんでも。下着も脱げよ」  ぼそっと言われた言葉は聞き取れず、毛布を渡された。  進藤は私に背を向け、さっさと服を脱いでいく。  引き締まった男らしい背中を見てしまって、慌てて目を逸らした。  私は毛布に包まりながら、ブラを外し、ショーツを脱いだ。  肌に貼りついていたのが気持ち悪かったから、スッキリする。  そうしている間に、進藤はボクサーパンツひとつになった。  細いけどしっかり筋肉はあって、身体まで綺麗なのがムカつく。  そして、私ひとり毛布を被っているのが、気になった。 「ちょっと! こっち来たら?」  振り返った進藤が目を見張った。 「私だけ毛布使うのも悪いし……」 (借りは作りたくないし!)  あまりに驚いた顔をするので、遠慮されてもムカつくと、手だけ毛布から出して、ちょいちょいと呼んだ。   「おっ、まえ〜、本当に意識してないんだな……」  あぐらをかいて頭を抱えてしまった進藤のそばに、もそもそと這い寄った。  埒が明かなさそうなので、バサッと彼を毛布で包む。 「「冷たっ!」」  私は進藤の濡れたパンツに触れてしまって、彼は私の身体に触れて、悲鳴をあげた。 「濡れてるじゃない!」 「どんだけ冷えてるんだよ!」  思った以上に近い距離で顔を見合わせて、ふっと互いに視線を逸らす。 「ぬ、脱ぎなさいよ!」 「脱いでもいいのかよ」 「べつに! 私は気にしないし!」 「ふ〜ん」  進藤はもぞもぞとパンツを脱いで、ストーブの前に放った。  それを見て、二人とも真っ裸なのを意識してしまった。  ぎりぎり触れてはいないけど、進藤の熱が伝わる距離にいる。  冷えた身体がブルブル震えた。 「寒いのか? 温めてやろうか?」 「どうやっ……ちょっと!」  言い終わる前に抱きしめられた。  しかも、あぐらの上に横座りで乗せられて、全身を進藤に包まれている。  こうすると、可愛い顔をしているくせに進藤との体格差を感じて、ムカムカする。   (あったかい……けど、こんなの落ち着かない!)  もがいて逃れようとしたら、また進藤が笑った。 「あれ? 意識してないんじゃないの?」 「してないわよ!」  余裕そうな進藤に腹が立って、冷たい手をお腹に当ててやった。 「冷てっ」  ビクッと首をすくめた彼をざまーみろと思っていたら、その手を取られて、口をつけられた。 「な、な、なにしてるのよ!」  引っ込めようとするけど、私の手は進藤にしっかり掴まれて、あろうことか指先を彼の舌が這う。  ちらりと私を流し見ると、進藤はにんまりした。 「冷たい手を温めてやろうかと思って」  言うなり、パクリと私の人差し指を口に入れた。 「あ……ぁ、あ……」  衝撃の光景に口をぱくぱくさせた。  進藤の温かい舌はねっとりと私の指を舐めて、冷え固まった指を溶かしていく。  人差し指から中指、薬指。  私の目を見つめながら、いかにも美味しそうに飴玉のように舐められ、ゾクンッと身震いした。  ちゅぽっと音を立て、指を口から抜くと、進藤はさらに顔を寄せてきた。 「まだ冷え切ってるよな?」  私の手を掴んでない方の手は、いつの間にか私の身体を撫で回していた。
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