俺は絶望した。だから死ぬ

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 キーン、コーン……。15時25分。放課を告げるチャイムが鳴った。  赤坂先生が話をやめて、生徒たちに自由を宣言する。  生徒たちは一斉にざわめき始め、三々五々散っていく。  黒は一人で昇降口へ向かった。いつもなら彼女は、放課後はクラスメイトの紺野綾香(こんのあやか)に強制的に連行される。行先はカラオケかファミレスかゲーセン、たまに下らない合コンごっこに参加させられることもある。  しかし幸い、綾香は今日、珍しく学校を休んでいる。  綾香がいないおかげで、今日の放課後は自由に行動できる。黒はスクールバッグを掴むと、そそくさと教室を後にした。  自由に行動できるとはいえ、黒はとくにやりたいことが思い浮かばなかった。彼女はそのことを一瞬だけ不思議に思った。  しかしすぐに、手持無沙汰の原因は判明した。  彼女はここ最近、立て続けに大切な友人を失っている。放課後を一緒に楽しく過ごす相手がいなくなってしまった。  帰宅する。もはや、それしか選択肢はなかった。
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