三、入学式

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「デジャヴ?」  小さな笑みを携えて問い掛けると、漆黒の瞳が俺を仰いだ。 ***  進藤と会えるだろうか。なんて、自分でも恥ずかしい乙女思考で入学式を迎えたのだが。  同じクラスであっさりと再会を果たした。    しかも受験の日と同じような光景で、再び会うことになる。  高校生活初日。  型崩れのしていない紺色のブレザーと、青いネクタイ、皺ひとつないグレーチェックのスラックスはまだ体に馴染んでいなくて窮屈だった。  教師や先輩が出迎える校舎入り口は、入学おめでとうの言葉が飛び交う。  春風が通り過ぎ、センターパートにセットした、地毛である栗色の髪に軽く手櫛を通す。  人波になぞって足を進めていくと、玄関口で教師からたっぷりと入学案内の資料が入った大きい封筒を手渡される。  入学式の会場である体育館へと入場する前に、一度教室へ向かうようにと案内があった。
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