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「スポーツ科一年A組」の教室に入ると、並んだ机と椅子に、既にほとんどの生徒が座っていた。
黒板側のドアから部屋に入ったせいで、生徒たちの視線を悪戯に集めてしまう。
「白浜中の日浦くんじゃない?」
「あ、あのサッカー部の……」
「写真で見たことあるけど、やっぱイケメン」
女子たちの隠す気のない内緒話が耳に入るが、気にせずに自分の名簿番号が書かれた机を探す。
自分の席に、先客がいた。
姿勢の良い華奢な体。綺麗な丸みを帯びた後頭部に、艶のある黒髪。
封筒から資料を取り出して見入っているので、顔を見ることはできなかったが、確信する。
間違いない、進藤だ。
さすがに動揺を隠せず立ち止まってしまう。一瞬まばたたきをしたのち、机に歩み寄り角をノックするように叩いた。
「デジャヴ?」
瞳を上げた進藤と目が合い、俺は小さく笑む。
二度目の席間違い。
呆れるでもなく、心地の良い可笑しさが胸をくすぐる。
「え……」
進藤の方は呆然とした顔で、静かに戸惑いの声を漏らした。
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