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合格発表当日。高校の玄関前には人だかりができていた。
こういう時に、自分の長身は便利だと思う。後方からでも背伸びをすることなく数字がびっしりと並んだ掲示板を確認することができた。
「(あった……)」
受験番号である「127」の文字が、たしかに記されていた。
自信はあったけれど、やはり実際に合格だと分かると嬉しくて身体中の細胞が高ぶる。
自分の番号の下にある「128」の番号を見て、進藤も受かったのかと勝手に安堵した。
さっとあたりを見渡して本人の姿を探してみるけれど、この人混みでは見つけることは出来そうになかった。
それ以上進藤を探すつもりもなく、周りのように記念に番号の写真を撮ることもなく早々に人だかりを抜けた。
すぐに親に連絡することも、なんとなく面倒だったのでブレザーのポケットに入れたままのスマートフォンは取り出さないまま最寄りのバス停でバスを待った。
"南ヶ丘病院行き"のバスが目の前に停車した時、俺は迷わずにバスへと乗り込んだ。
向かう先は自宅では無い。
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