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頭を豪快に撫でながら躰を密着させてくるので、創一は抵抗しようとした。だが、余計に強く抱き締めてくるので、ついに抗うのを止めて身を任せた。平木は思った以上に胸板が広いと、上昇する体温の中でそう思う。
「優秀な生徒を部員に持って、先生は鼻が高いわけよ。他の教員にはデスクが汚ないだの、居眠り常習犯だの、散々評価が低くて……」
「先生、それは自分が悪いんじゃないですか」
「嫌味も言われたよ。試験の問題を教えるほど暇なんですね、だと。そんな卑怯なことするわけないだろ。遠矢が学年トップで見返してくれて清々したぜ」
平木が笑いながら話している時に、皆瀬川が帰ってきた。目を丸くして、すっかり言葉を失っている。時を同じくして戻ってきた安藤も、訝しげな顔つきになる。
「身内ネタは厳禁なんです、この新聞部は。いちゃいちゃしたいなら、見えない処でやって下さい」
「だったら、もう少し時間をくれよ。せっかく捕らえたのに」
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