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皆瀬川はスキップして扉口の二人に近寄り、上級生と馴染もうとしない彼らの肩を抱いた。
「まだ入部祝い開いてなかったわよねえ……。せっかく美男子コンビを迎え入れたのに」
勉学の邪魔をされたからか、コンビにされたのが癪に障ったのかは定かでないが、明らかに椿田は不機嫌な目付きをぶつけている。それも、皆瀬川にではなく、対面の相手にである。
創一がいっそう気詰まりを感じたところで、平木も腰を上げてやってきた。早くも半袖シャツという出で立ちで、あまり身なりに構わないのか襟がよれている。
「いいねえ、入部祝い。購買で何か買ってきてやるよ」
「中学生じゃないんだから止めて下さいよ。どこかに美味しいものでも食べに行きましょ」
「それなら、ショッピングモールの一角にあるカフェテリアが良いですね。メニューも豊富で気兼ねせず、先輩の間延びした声が響いても安心です」
さりげない安藤の皮肉に思わず吹き出した創一は、突き刺さるような視線がもうひとつ増えたので「何でもありません」とすぐさま訂正した。
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