風は気ままに

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風は気ままに

 和凰高校の新聞部は、その実態により生徒らから煙たがられる存在である。月に二度、ロビーの正面に張り出される記事は平和的なものとは程遠く、スキャンダルと言ってよいほど節度がない。  ごく穏やかな高校生活を送りたいと考えていた創一にとっても、この新聞部の活動は非常に厄介なものであった。  廊下で出会せばポロライドカメラのシャッターが飛び交い、再びすれ違えば「記事にならないから」と現像した写真を手渡される。創一は既に六枚受け取っている。入学してから一ヶ月と経たないうちにである。  そればかりか、入部には断りを入れたはずだが、勝手に部員となっていた。強引に部室へ来るよう部長の皆瀬川遙に誘われたその日、新入部員としてメンバーに紹介されたのである。初めから目をつけられていたと悟るには遅すぎていた。  会議テーブルを一脚置いただけの部屋で、副部長の安藤進が静かにタイピングをしている。次の水曜日に掲載する記事をまとめるためだ。皆瀬川は彼の後ろでスツールに腰かけ、熱心に写真を眺めていた。
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