隣の長谷川さん

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隣の長谷川さん

 玄関のドアを閉めて鍵をかけ、念のためガチャガチャっとドアノブを回す。 「よし。」  鍵が掛かった事を確認すると、太一はアパートの階段を降りた。 「太一!」 「……………?」  声がする方を振り向くと、一人の警官がこちらに手を振りながら掛けてきた。 「あ、おはようございます。」 「おはよ。お前さ、ママロボって知ってる?」 「あ、知ってますよ。」 「漫画持ってる?」 「持ってますよ、全巻。」 「やった!ちょっと今度貸してくれる?………あ、いいや、今日仕事終わったら読みに行くわ。」 「え?今日ですか?」 「お前どうせ用事なんかねぇんだろ?」 「あ、ありま…………!」 …………用事!用事!用事を思い出せ!!あるだろ?一つくらい………何でもいいよ、誰かとの約束とか、やらなきゃいけない事とか………… 「………ありません。」 「じゃあ、後でな!」  手を振って去って行く純の背中を見送りながら、悔しそうな顔をする太一。 …………ちくしょう、何か本当にダメだな僕って…………そうだ、決めた! …………友達を作ろう!
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