そういうのは気付かない内になっているもの。

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 ガチャ………とドアを開けた太一が驚いた表情で彼を見つめる。 「よっ。」 「…………どうしたんですか??」 「ママロボ、続き読みに来た。」 「………あ、はい………。」  「どうぞ……」という太一にお構いなく靴を脱ぎ、居間に行き畳に寝そべると何も言わずに本を掴み読み出した。 「焼きそば食べたい。」 「………え?お腹空いてるんですか?」 「うん。」  仕方ないな、と冷蔵庫を開け食材を出し流しの下からフライパンを取り出した。 「太一。」 「………はい。」 「ごめんな、あの時………傍に居てやれなくて。」  漫画を読む素振りをしながら、純が詫びた。意外な展開に付いて来れてない太一は何と返したらいいのか分からず、焼きそばの麺を揉みながら言葉を探す。 「あの人、どうなったんですか?」 「捕まったよ。」 「………そうですか。あ、そう言えば……長谷川さん、引っ越しちゃうらしいです。」 「………へぇ、そうなんだ。」 「ビックリですよね!急に決まったらしいです、何でかは教えてくれなかったけど………折角友達が出来たと思ったのに………」 「そういうのって、気付かないうちに出来てるもんじゃねぇの?」 「え…………?」  パタン……と本を閉じ、それを胸の上に置いた純が太一を見つめて優しく微笑んだ。
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