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「武内さんって、一人暮らしですか?」
「うん。」
「彼女居ないんですか?」
「うん。」
「………………。」
純のためにあらかじめ部屋の真ん中に置いておいたママロボの単行本を早速読み始めている純は、太一の問いかけに適当に返事をする。
「警察」と皆が呼んでいる悪を取り締まる組織。太一が住むこの国では、その組織は大きく二つに分かれている。片方が交通関係や一般の事件などを担当する一番国民と距離が近い民警、もう片方は密輸や薬物関係を担当し、政府とも親交が深い暗警。特殊部隊もこの暗警に属している。その内容はあまり知られることはなく、影の組織になりつつあるこの暗警。太一でも何となくは耳にした事のある名前だった。
「武内さんは民警でしょ?」
「……………ん?なに?」
「…………(怒)」
漫画に夢中で全く人の話を聞いていない純にムカっとしながら夕食を作るために台所に立つ。
…………あの人読みだすと周りが聞こえなくなるタイプだ!まぁいつも交番に居るんだから間違いなく民警だろうな。それにしても、長谷川さんと話したの楽しかったなぁ………今度は僕の方から行ってみようかな!アニメを一緒に見るって言うのも楽しそう!いやぁーいいなぁー………これが友達かぁ。
「何作るの?」
部屋を覗くと、もうすっかりくつろいでいる純が畳に寝そべりながら漫画を読んでいる。
「焼きそばです。」
「旨そう、俺にもちょうだい。」
右足のつま先で左足のスネをポリポリと掻きながら、漫画を持つ両手を上に掲げて読んでいる。全くもう……とフライパンに油を入れ、野菜炒めミックスを放り込んだ。
「…………犯人、まだ見つかってねぇよ。」
「…………え?」
「あの人の連絡先、教えてもらった?」
…………あの人って、ヒーラーさんの事?
「あ、いや………知りません。」
「今、何時?」
「え?えーと………」
急に時間を聞かれた太一が慌ててズボンの後ろポケットからスマホを取り出し、待ち受け画面で時間を確認した。
「6時半過ぎです。」
「…………行くぞ。」
パタ………と本を閉じ、迷いなく立ち上がり玄関に行き靴を履く純を戸惑った様子で見つめる太一。
「何やってんの?早くしろよ。」
「……………え??」
…………何かこの人、本当に………読めない!!
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