おめでとうを、君に

　人の群がるクラス分け表の貼ってある掲示板は後回しにして、だってそれはアイツも同じだろうから。入学式までまだ時間があることを確認しつつ東校舎の方へと向かった。学校説明会の時に長々と説明されたことを思い出しながら歩く。西校舎は後から作られたぶん新しく綺麗で、東校舎は創立当初からあるため幾分か古びていた。
　アイツならこっちを選ぶだろうと、足が勝手に東校舎の軋む廊下を選び、進んでいた。東校舎は古く廊下も汚れているために土足で入っても良くて、卸したばかりの真新しいローファーとの相性がとても良かった。かかとで鳴らす音を楽しみながらひとつひとつの教室を、と言っても先輩がいそうな場所は飛ばしつつ見て回った。