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五月半ば、李菜さんが男の子を出産したので、有希乃ちゃんと一緒にお見舞いに行った。
「大変でした?」
二ヶ月後に出産を控えている有希乃ちゃんが、怖々尋ねた。
「んー、思ってた程じゃなかったかな。隆正くんの方がオロオロしちゃって」
「伊野っち…外科医なのに」
でもそう言えば、いつも冷静な櫂先生だって、思ったより動揺していた気がする。幾ら仕事で慣れていても、自分の奥さんだと違うんだろうな。
「破水から出産まで半日じゃ、早い方ですよね」
「うん。予定日より早かったから、小さくて楽だったっていうのもあるけど」
「春妃先生は遅れたから、大きくなっちゃって大変だったって言ってました」
「そっか〜。やっぱ出産日決めた方がいいかな」
「でも有希乃ちゃん、腹筋強そうだから、大丈夫じゃない?」
「そういう問題ですか?」
「ゆっちゃんも男の子確定?」
「確定。この間のエコーで見えちゃった」
「有希乃ちゃんは女の子がよかったの?」
「最初は女の子の方が育てやすいって言いません?」
「言うけど…有希乃ちゃんは男の子だよ。ね、茉緒ちゃん」
「そんな感じします」
「えっ なんでよ」
「伊野さんも修のとこも男かぁ」
帰って梓に報告すると、なぜか残念そうに言った。
「男の子率、ダントツに高いね。宮路さんとこは?」
「男」
「予定日、いつだっけ」
「六月」
「瞳子さんじゃないけど、そろそろピンク色のお祝い、買いたくなってきた」
「まとめれば、野球チームくらい作れそうだな」
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