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朝起きると、隣に梓が眠っていた。いつの間に帰って来たんだろう。
時計を見ると、八時過ぎだった。多分帰って来てからまだ三時間ぐらいしか経ってないな。
起こさない様にそーっとベッドを降り、寝室を出て、洗濯や居間の掃除をした。今週は実習で帰りもいつもより遅かったし、梓もずっと忙しそうで、家のことが半端にしか出来ていなかった。
一通りの家事が終わると、遅めの朝ごはんを作り始めた。梓は疲れているだろうから、和食が食べたいだろう。ご飯を炊いて味噌汁を作り、卵焼きとししゃもを焼く用意をしたところで、梓が寝室から出て来た。
「おはよう…」
「おはよ。もう起きたの?」
「味噌汁のいい匂いがして来たから」
「卵とししゃも焼くから、五分待って」
「ん…顔洗って来る」
梓は、顔を洗ってもまだ眠そうな顔で食卓に着いた。
「もっと寝てればいいのに」
「食べたらまた寝る。腹減りすぎて」
「昨日、最後にご飯食べたのいつ?」
「七時くらいかな」
「それからノンストップで仕事?」
「休憩や仮眠はしたけど」
「代休、ちゃんともらいなよ。倒れちゃうよ」
「うん。落ち着いたらまとめて休む。梛くんの結婚式もあるし」
来週はいよいよ、梛さんと衣鞠さんのウェディングウィークだった。
水曜日に都内でマスコミ向けの披露宴があり、土曜日には衣鞠さんの地元の名古屋で家族向けの披露宴がある。その後東京に戻って羽田空港からバルセロナへ飛び、リゾートウェディングをしてハネムーンに行く予定だ。そちらは主に、衣鞠さんのお仕事関係、つまりモデル仲間や親しいカメラマン、デザイナー等のファッション関係者などが参列するらしい。さぞ華やかな光景だろう。
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