Mr.Lonely black dog,Miss Tiny stray cat.

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 翌日、同じく帰省していた有希乃ちゃんのところへ遊びに行くと、三ヶ月ぶりに会った息子の充希くんは、一回り大きくなっていた。 「もうちょっと!頑張れ!」  充希くんは、習得したばかりの寝返りで、家族中を沸かせていた。  小さな手足をバタバタさせながら、必死にむちむちの体を捻ると、皆が息を詰めながら見守った。そして転がる様にころんと寝返りを打つと、一斉に歓声と拍手が起きた。 「やった〜。お疲れ〜」  充希くんは、褒められているのがわかるのか、にこにこしながら頭を上げたが、すぐに疲れてぺしょんとうつ伏せになった。修さんは充希くんを仰向けに戻し、お腹をこしょこしょと撫でた。 「もう寝返りは完璧だね」 「うん。でも、初寝返りは見逃しちゃったんだよね…」 「え、そうなの?」 「振り向いたらうつ伏せになってて、“え、あんた言いなよ!”って言いたくなった」 「決定的瞬間なのにね。でもこの感じじゃ、すぐハイハイとかし始めそうじゃない?」 「気付いたら歩いてそうで怖い。今の家広いし、変なとこ隠れそう」 「ドアの閉め忘れとか、気を付けないとな」 「特にあんたの趣味部屋とかね?」 と、有希乃ちゃんは修さんを見た。今の家は部屋が沢山あるので、物持ちの修さんは、私物用に一部屋与えられたと言っていた。でも数年後に都内へ戻る時には、大変なことになりはしないだろうか。 「ミッキは良いよな…寝返りを打つだけで褒められて」 と修さんは、悲しそうに充希くんを撫でる。 「はいはい、修先生も偉いですよ。この間、ヘリも呼んだしね」 「マジか」 「そうなんだよ。元成先生の時は三年間一度も出動しなかったっていうのに、オレになった途端、AAAのクランケ来てさー。危うく破裂するとこだった」 「もうあれ経験したら、怖いもん無しだよね」 「大変でしたね」 「お陰で周辺住民から“シュウ先生すごい!”ってなって、連日大繁盛になっちゃってね。大変よ」 と、有希乃ちゃんが溜め息を吐く。  僻地でも二人は相変わらずの様で、安心した。
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