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東京での生活も、そんなにセカセカと過ごしているつもりはないのだが、田舎の空気はなんとなく、ゆっくりと流れている気がする。天気の穏やかなお正月で、河川敷に座ってぼうっとしている時間が、とても贅沢に感じた。
そんな感じで、三ヶ日は特に遠出もせず、家族と過ごしたり近所を散歩したりして、のんびりと過ごした。
「極寒のシカゴでの怒涛の一ヶ月が、夢の様だよ…」
と、梓もしみじみと言った。
「遠宮さんに宜しくお伝えしてね」
「わかった」
「今年から実習が始まるんでしょ?体調には気を付けて」
「うん。お母さん達もね」
「喜世さん、ご馳走様でした」
「梓くんも、忙しそうだけど、無理はしない様にね」
「はい、ありがとうございます」
お土産は要らないと言ったのに、やっぱりお母さんは沢山のお土産を用意して、私達に持たせてくれた。
そして正月明け、両親に見送られながら、実家を後にした。
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