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⭐Lv.21 不死戯のアリス その2
目を覚ました時には、既に遅かった。
手足は縄で拘束されており、罠だったのだと気付く。
三人の女達、服は革ジャンに革パンツだがメイド喫茶の店長もいた。
その他、ガラの悪い男たちが二人・・・辺りを見渡すと壁はコンクリートで、テーブルとソファーベッドが二つずつ並んでいる。
見渡すと、ドアは一ヶ所だけで小さな窓が二つある。
漂う臭いが鼻につく・・・まだ、意識がハッキリしないが、どうやら廃墟に拉致られたようだ。
「お目覚めかい、探偵気取りの兄ちゃん。単独行動はハイリスクだぜ?」
ガラの悪い店長が、ゆっくり近づいてきた。
「お前らが、妹とアリスに暴行したのか?」
「暴行とは、人聞き悪いな。セックスパーティーしただけだぜ?」
そう言って、店長はスマホを取り出した。
「それは、ウサミのスマホ!」
店長は俺にスマホを向け、動画を再生した。
動画には、画面を睨むアリスが映っている。
「よう、お嬢ちゃん。接着剤で貞操封印されるのと野菜で処女喪失するの・・・どっちが良い?」
動画から、店長のゲス声が聞こえてきた。
「あんたたちにヤられるくらいなら、接着剤を選ぶわ!」
アリスの答えを聞き、沢山の笑い声が画面から響いた。
「気に入ったぜ。特別に俺の肉棒をプレゼントしてやるよ。おい、舌を噛まないようにボールギャグつけろ!」
穴のあいた玉付きの口枷を無理矢理つけられ、二人の男に身体を押さえつけられたアリスが店長に犯された。
画面が代わり、虚ろな目をして男たち二人に好き放題されているウサミが映る。
「おいおい、もっと優しくしてやれよ?」
また、画面が代わり三人の女達に奉仕されている男が映るが首から上が映っていない。
はだけたワイシャツから、左胸に赤い龍のタトゥーが見えた。
怒りと嫌悪感に悶絶しそうになったが、生きて出られた時の為に一つでも多くの情報を得るのだと、自分に言い聞かせた。
「おや、怒り狂うと思ってたが・・・だんまりかよ?」
「胸糞悪くて吐きそうだが、終わった事よりこれからお前らにどう罪を償わせるべきか考えるのに忙しくてな」
俺の言葉を聞き、全員が笑った。
「この状況で、言うねぇ!言っとくが、俺たちがこのビルから二人を突き落とした訳じゃないぜ?まぁ、クソ寒い中、屋上に放置したからジャンプ以外の選択肢は無かったかも、だけどな!」
世の中に、これほどまでの屑がいるとは・・・ワンチャン、生きて出られる可能性があるとすれば・・・
「俺も屋上から、ダイブさせるのか?後追い自殺に見せかける為に」
「あ~悪いが、お前は雪の中に埋める予定だよ。今年は雪が多い・・・今も、また降りだしてる。三階建てビルの屋上から飛び降りても、雪がクッションになって死ななかったからなぁ~お嬢ちゃんたちは、な?」
見透かされていたか・・・一縷の望みも断たれ、俺は死を覚悟した。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
なんだ?ドアの向こうから、ボイスチェンジャーで加工したような妙な声が聞こえる。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
声は次第に近づいてくる。
そして、もう一つの声が響く。
「待ちなさい!待ちなさいってば!」
追いかけているような声も、追われている側のようにボイスチェンジャーで加工したような声だが「ごめんなさい」の声よりは、低い。
「おい、誰か入れたのか?」
「いや、見張りの二人には誰も入れないように言っておきましたぜ?」
店長が手下の男に尋ねている所を見ると、奴らも知らない誰からしい。
助けを求めて叫べば、もしかしたら!!
そう思った瞬間、何かがドアを突き破り部屋の中に転がり入ってきた!
それは、シルクハットに燕尾服、を着た黒縁メガネのウサギだった。
あまりにも現実味の無い、アニメから抜け出してきたようなタッチの存在に、その場にいる者達、全員が目を丸くした。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
謝りながら、部屋中を動き回る。
壁を走り、天井を走る。
なんだ、これは?もしかして、全部が夢なのか?
「待ちなさい!待ちなさいってば!」
もう一人の声の主は、壊れたドアから姿を現す。
ウサギを追いかけるシチュエーション、その装い・・・現れた少女は童話やアニメで有名な『不思議の国のアリス』を彷彿とさせた。
大きなリボンに膝丈のエプロンドレス、ただ色は不思議の国のアリスの衣装とは反対で赤と黒になっている。
髪は銀色、ゆるふわ外巻きロングで顔は真っ白、ドファサルメイクのように、目元はほんのり赤く、大きな瞳と唇は血のように真っ赤だ。
そして、最も異なるのは・・・大きな電動ノコリギ、チェーンソーを両手で構えている点!
「待ちなさいって、言ってるでしょう!」
怒鳴り声と共に少女はチェーンソーのエンジンをかけ、部屋中にエンジン音とチェーンソーの回転音が響きわたらせた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
謝りながらウサギは、立ち尽くしている手下の男を盾にするように背後に逃げる。
「え?ちょっと・・・」
少女は困惑する手下の男ごとウサギを切り払おうと、チェーンソーを振りかざす。
ウサギはそれをかわしたが、男の胴体は切断され血と内臓が飛び散った。
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