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⭐Lv.22 不死戯のアリス その3
阿鼻叫喚の地獄絵図と言うのに、ふさわしい光景だった。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
謝りながら、部屋の中を所構わず跳び跳ねるウサギが女たちへと向かって行く。
「こ、こっちにこないでー!っびゃっ!?」
そのうちの一人の頭部がチェーンソーでぶった切られ、脳ミソを飛び散らせながら、手下の男の顔面にぶつかった。
「ぎっぎゃあぁぁぁぁぁー!」
奇声のような悲鳴をあげ、逃げようとする男だったが、そこにウサギが転がりながら向かって行く。
「待ちなさい!ちょこまかと!」
本当にウサギを切ろうとしているのか、疑わしいくらい見事に男の両足をチェーンソーが切断した。
「いだぁぁぁぁい!ひ、ひぃぃぃぃ!」
それでも、男は這いずりながら唯一の逃げ道である扉の壊れたドアへと向かうが、無情にもウサギがその背中にピョンと飛び乗った。
チェーンソーは背中から下半身まで切り裂き、血と内臓に紛れて糞尿が飛び散る。
腰が抜けてしまったらしく、三人の女の一人は立ち上がることすらできずに座り込んだままガクガク震えていた。
その膝元に、ウサギがピョンと飛び乗り「ふーっ」と一息ついた。
「あ・・・やだ、あっちいっでびぃ!?」
女の頭をチェーンソーが縦に切り裂く。
そして、今度は俺の方にウサギが向かってくる!
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
恐怖で目をつぶったまま、縛られた腕をかざし、せめて頭だけは守ろうとしたが・・・あんな、嘘みたいに切れるチェーンソーの前には無意味だろうと、心の中では諦めていた。
チェーンソーの回転音が間近に迫る!
が、痛みは無い・・・手を縛っていた縄だけが切れている!?なんという幸運だ!
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
謝りながら、なおも逃げ続けるウサギ・・・今のウチに足の縄を外して脱出しなければ!
「この、イカレ女がぁぁぁぁ!」
店長が懐から特殊警棒という伸縮式の鉄棒を取り出し、少女に殴りかかった!
あんな大きなチェーンソーを軽々と振り回している時点で、人間がどうかも怪しい相手に向かって行くとは・・・あぁいうのは、勇敢とは言わず無謀というべきか。
死んだな、ざまぁみろ。
しかし、俺の予想とは違い、警棒は少女の頭部にクリーンヒットした。
少女の頭部は粘土みたいにぐにゃっとへこみ、何とも気の無い悲鳴をあげた。
「きゃ~」
ガシャン、という派手な音と共に床に落ちたチェーンソーを拾い上げた店長は、すかさずエンジンをかけて少女の胴体をぶった切る!
上半身と下半身が分断した少女は、どこからともなく取り出した糸のついた手縫い針をポイっと空中に投げる。
針は生き物のように空中で蠢き、少女の上半身と下半身を縫いつけた。
なんだ、この光景は?
もしかして、俺は悪い夢を見ているのか?
身体が繋がった少女は、ちょっと飛び出している腸を両手でグッと押し込んだ。
「あんた、私と戯れたいの?」
店長はチェーンソーを構えたまま、少女を怒鳴る。
「うるせぇ、化物が!こんどは、全身バラバラにしてやる!」
武器を持っているから強気だな。少女はどうするつもりだろう?
少女は、何故かスカートの中に手を入れてモゾモゾしている・・・ん?何か、手に持っているぞ?
少女はスカートの中から日本刀を取り出した!四次元スカート!?
刀を構えた少女は、笑いながら店長に斬りかかる。
それは、一瞬の出来事だった。
一の太刀で右腕が切断され宙を舞い、二の太刀で左足が切断され床に転がる。
「ッギャアァァァァァァ!?」
哀れ・・・とは思わないが、店長は無様に悲鳴をあげながら、うつ伏せに倒れこむ。
少女は刀をスカートの中にしまい、再びチェーンソーを手に取った。
「た、助けて下さい!何でもします!お願いしますぅぅぅ!」
命乞いをする店長に、少女は笑みを浮かべて問いかけた。
「あなた、頑張ったから選ばせてあげる。腕と足、どっちをくっつけて欲しい?」
そう言いながら、少女はさっき自分の身体を縫いつけた針を取り出した。
まさか、腕か足を縫合して助けるつもりか?
「あ、足で!足でお願いしますぅぅぅ!」
俺も店長と同じ立場なら、足だ。何故なら、両足さえあればワンチャン逃げる事ができるかも知れないからだ。
「OK、足ね?でも、この形だと流石に無理かなぁ?」
少女は切断された左足を手に取り、靴を脱がせ爪先に唾を垂らした。
すると、足の指がドロドロに溶け出し丸みを帯びた形状になった。
更に、店長のズボンを脱がした少女は店長の尻を左足で踏み・・・ぐいっと尻穴を広げた。
まさか・・・
俺と同じく、店長も何をされるか察したらしく泣きながら悲鳴をあげる。
「いやだぁぁぁぁ!止めて下さい!そんなの、入る訳・・・いぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
笑いながら、少女は店長の尻穴に変形させた店長の左足をねじ込む。
「大丈夫、大丈夫!どこまで入るか、見ててあげるね!」
尻穴から、血と糞が飛び散る・・・流石に、俺も目を背けた。
やがて、店長の悲鳴は途絶え・・・絶命した。
少女は辺りを見渡し、腕組みしながら頬をぷくっと膨らませる。
「ウサギのやつ、また姿を眩ましたぁ!どこいったー!」
少女が背を向け、壊れたドアから出て行こうとしている・・・助かった、のか?
そう思った瞬間、少女の首がぐるりと背中まで回り俺の方を向いた。
「うろちょろするな」
それだけ言い残し、少女は部屋から出て行った。
クソ、小便ちびってしまった・・・とにかく、ここから脱出しよう。
その前に、店長が持っていたウサミのスマホを回収しなければ・・・これは、重要な証拠になるハズだ。
だが、飛び降り自殺未遂があった廃ビルを何故、警察は立ち入り禁止にしていないんだ?
捜査の手が全く伸びていない・・・このスマホを警察に渡すのは不味いかも知れない。
「ん?」
部屋を出ようとした時、死体の数が足りない事に気づく。
俺にメモ紙を渡した女がいない・・・どさくさに紛れて逃げ仰せたのか?
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