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「おいおい、泣くなよ」
ボウディーヴィルス国民は、泣き崩れる彼らに寄り添って慰めました。
普通なら彼らの惨めさに呆れかえるところですが、マッチョは寛容なのです。
「ひっぐ……こんな体っ、こんな体っ!」
「なあ、落ち着けって。いいか? 醜いのは体じゃない、心だ」
「はっ、綺麗事だな。筋肉のないブヨンブヨンな体だぞ。醜くないわけがないっ」
「大丈夫だ。筋肉は、誰の体にもある。ほら、大胸筋に手をあてて、素直な声を聞くんだ。……お前たちは、本当に大豆シリアルが食べたいのか?」
「オ、オレらは……」
タイシボン国民は、胸に手をあてて答えました。
「――オレらは、揚げ物が食べたいっ!」
「そうだ、それがお前の真理だ。もう、どうするべきか、わかるな?」
「ああ、ああ。もちろんだ」
彼らは涙を拭い、ゆっくりと立ち上がりました。
その目に、純粋な希望の光を宿らせて。
「みんな、帰ろう。帰ってママの唐揚げを食べよう。マヨネーズと醤油をつけて!」
「ぅおおおおおおお!」
「唐揚げだぁあああ!」
「マヨ醤油! マヨ醤油!」
タイシボン国民は目にも留まらぬ速さで撤退し、マヨ醤油コールが始まった時には全員が船に乗り込んでいました。
彼らはあまり器用な方ではないのですが、逃走の手際は良いのです。
「こらぁあ! タンパクシッツ国民に謝れー!」
「ごめんなさぁあああいっ!」
タイシボン国民は、船を動かしながら謝りました。
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