マッチョ国家・ボウディーヴィルス

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マッチョ国家・ボウディーヴィルス

あるところに、ボウディーヴィルスというマッチョの国がありました。 国民全員マッチョです。 変わった国ですね。挨拶も変わっているんですよ。 「へいへいへいっ、大胸筋が歩いてるぅ!」 「今日も立派な肩メロンだね!」 「「ウ〜〜っ、マッチョ、マッチョ!」」 この国の唯一の義務は、肉体美を追求することでした。 労働を課さずとも、マッチョは働き者なのです。 筋トレのついでに畑を耕したり、トマトを潰してケチャップを作ったり、ピザ生地をこねて焼いたり。 食べて体を動かして、肉体美を披露し褒め合う。 健康的で陽気な国です。 ……そうだ、忘れてはいけないものが一つありました。 マッチョの命・プロテインサプリメントです。 ボウディーヴィルス国民は、大人も子供も老人も、飲み物と言えばプロテインサプリメントを水に溶かしたものでした。 これがなければ、マッチョはマッチョたりえないのです。 ボウディーヴィルスは、プロテインサプリメントを毎月、隣国のタンパクシッツから輸入しています。 今月も、彼らはいつものようにプロテインサプリメントを輸入したのですが――。 「きたきた、プロテインサプリメント! 全身の筋肉が喜びに打ち震えるぜ。来月も同じ量をよろしくな!」 「ごめんよ。プロテインサプリメントは、しばらく作れそうにないんだ」 「なっ……!?」 なんということでしょう! まさかのプロテインサプリメント製造停止宣言です。 ボウディーヴィルス国民は、ショックのあまり膝から崩れ落ちました。
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