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姫宮家は、平安時代から代々続く行者の家系だ。同じく、それを生業とする五つの氏族と共に、悪鬼罪障を鎮め、浄める使命を帯びている。
六星一座──
それが、彼等の通り名だ。
真言宗の一山にして包括宗教法人であり、国家鎮護を司る行者衆である。
そもそも行者とは、仏道修行に生きる者をいう。故に、一座に属する六つの氏族は、それぞれが寺の住職であった。
姫宮家、火邑家、向坂家、神崎家、蔡場家…そして、それらを統括する甲本家の六家から成っている。
一座の総元締め──甲本家の当主は、代々、六星行者達を統括する『首座』を務めていた。
対して、姫宮庸一郎は、首座を補佐する『右近の知将』と呼ばれる立場にある。
同じく、『左近の猛将』の異名を持つ火邑家の当主と対になって、一座の統率を任されていた。
密なる教えを世に宣揚する傍ら、地に潜み、時代の帝に仕えて、日本国の安寧を霊的に支えて来た『六星行者』──
その使命は、時を経た今も尚、変わらず続いている。
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