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「俺は困ってなんかないけど?」
「え?」
「クビ候補の話がなくたって、いつだって啓人と番いたい」
そう言って竜崎さんは……俺の首筋に唇を寄せ、チュッと軽く吸い付くようなキスをした。
「あ……」
「啓人は? 俺と番いたくない?」
「番いたくないわけ……ないです」
こんなにかっこ良くて、素敵で……それなのに俺のことをここまで大切にしてくれる人は、他には絶対にいない。
番いたい。
本当はいつだって、全身で叫ぶようにそう願っていたんだと思う。
「……竜崎さん」
「ん?」
俺は、この人のものになりたい。
そして俺もーー
「次の発情期で、俺を番にしてください」
竜崎さんが、欲しい。
彼は優しく微笑みながら「うん。約束な」と答えると、俺の身体を正面からギュッと抱き締める。
「愛してる。啓人」
「俺も、愛してます。……累さん」
しばらくお互いに強く抱き締め合った後、彼は少しだけ身体を離し、今度は首筋ではなく俺の唇にキスを落とした。
「ん……」
甘くて優しい、それでいて深くて熱っぽいキス。
唇から全身に、竜崎さんの熱が伝わってくる……。
もっと、してほしい。
ちゅ、と音を立てながら唇を離し、竜崎さんは言った。
「啓人、ベッド行こ」
俺は恐らく真っ赤になっているであろう顔で、コクンと頷いたーー。
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