Five

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「俺は困ってなんかないけど?」 「え?」 「クビ候補の話がなくたって、いつだって啓人と番いたい」 そう言って竜崎さんは……俺の首筋に唇を寄せ、チュッと軽く吸い付くようなキスをした。 「あ……」 「啓人は? 俺と番いたくない?」 「番いたくないわけ……ないです」 こんなにかっこ良くて、素敵で……それなのに俺のことをここまで大切にしてくれる人は、他には絶対にいない。 番いたい。 本当はいつだって、全身で叫ぶようにそう願っていたんだと思う。 「……竜崎さん」 「ん?」 俺は、この人のものになりたい。 そして俺もーー 「次の発情期で、俺を番にしてください」 竜崎さんが、欲しい。 彼は優しく微笑みながら「うん。約束な」と答えると、俺の身体を正面からギュッと抱き締める。 「愛してる。啓人」 「俺も、愛してます。……累さん」 しばらくお互いに強く抱き締め合った後、彼は少しだけ身体を離し、今度は首筋ではなく俺の唇にキスを落とした。 「ん……」 甘くて優しい、それでいて深くて熱っぽいキス。 唇から全身に、竜崎さんの熱が伝わってくる……。 もっと、してほしい。 ちゅ、と音を立てながら唇を離し、竜崎さんは言った。 「啓人、ベッド行こ」 俺は恐らく真っ赤になっているであろう顔で、コクンと頷いたーー。
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