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まだまだ足りない
気怠い身体の僕をひと通りなぞったジュリアンは気が済んだのか、僕をひょいと抱き上げると歩き出した。
「…ジュリアン?」
僕は逞しいジュリアンの肩に頭を乗せながら、気持ちいい振動に身を任せていた。
「シン。湯浴みをしたいだろう?私に任せてくれ。シンには最低でも明日まで頑張ってもらわないといけないからな。」
僕は、疼く身体で何か不穏な言葉を聞いた気がしたけれど、ジュリアンの落とした柔らかな唇にあっという間に気が逸れてしまった。
久しぶりのジュリアンと一緒の湯浴みは楽しくて、久しぶり過ぎる閨にお疲れ気味の僕の様子にジュリアンは気遣ってくれたのか、湯浴み中は不埒な真似はしなかった。
いや、最後までしなかったというか…。再開してから、妙に僕を丁寧に撫で回すから、僕はくすぐったいやら、感じるやらでどうしようもない。
「ジュリアン、そんなにいじり倒したら僕の身体、力が入らないんだけど…。」
僕は熱い息を吐きながらジュリアンの首筋に吸い付いた。ジュリアンの筋張った太めの首に紅いキスマークが浮かび上がるのを見て満足して笑っていると、ジュリアンは片眉を上げて言った。
「私が我慢してるのに、シンはそうやって好き勝手するんだな?じゃあ、私も遠慮はしないぞ。」
そう言ってニヤリと笑ったジュリアンの意図を、次の日に鏡の前に立った僕が愕然として見つめる事になるとは、その時思いもしなかった。本当に。
僕は自分の唇を、ジュリアンの大きくて形の良い唇にゆっくりと押し付けると、その懐かしい柔らかさと感触を楽しんだ。不意にグッと抱きしめてきたジュリアンが、僕の瞳を見つめながら言った。
「まだ私は満足してないぞ、シン。シンの甘さをたっぷり味あわせてくれ。」
僕はギラつくジュリアンの眼差しにお腹の奥がズクリと震えて、心臓が激しく打ち始めて苦しいほどだった。
待ちきれない気持ちで、僕は息を荒げながらジュリアンの唇の隙間に舌を差し入れた。ジュリアンは口元を緩めて笑った気がしたけれど、僕はジュリアンを味わうのに夢中になっていた。
僕の舌はあっという間にジュリアンの大きな舌で絡め取られて、湯船の揺れる音なのか、口づけの音なのか分からない卑猥な水音に僕はどんどん煽られてしまった。
ついに僕は呻きながらジュリアンに懇願した。
「ジュリアン、もっと、もっとめちゃくちゃにして…。」
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