にわか羽

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 和希は笑った。 「ロマンチックじゃん」  平和と愛。この羽は幸せの証だと語ったおばあちゃんの顔が鮮明に浮かぶ。 (本当だったらいいな――)  ふと思い出した昔話だった。  今までずっと忘れていたのに今この瞬間思い出したのは私が愛で満たされたから?  この降り積もる羽のように。 「羽の降る日って指定して良かった。俺はこの日のこと一生忘れないよ。白い羽の意味も。おとぎ話だとしても、俺はこれが平和と愛の証って信じるさ。……お前との新しい関係も、な」 「恥ずかしいこと言うね」  何だかくすぐったい。少し……いえ、とても嬉しい。地面に落ちている羽をかき集めて、高いところから紙吹雪のように散らしたい衝動に駆られる。 「和希。好き――」 「なんだよ。お前も恥ずかしいこと言うなよな」 「やっぱりストレートに伝えたくなったの。たまには和希も素直にぶつけてみれば?」 「ったく、俺はいつでも素直だって」  雲間から除く鮮やかなオレンジと白い羽。  ああ、まるで世界中が私達の恋を祝福しているみたい――。 了
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