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リレーのテイクオーバーゾーンより少し長い距離を二人で駆け抜ける。カフェの軒下に着く頃には二人共すっかり羽まみれ。
ほんの少し走っただけなのに息が上がる。涼しそうな顔をしている陸上部の和希は、制服のあちこちに張り付いた羽を払っていた。
振り払われた羽たちが音も無く地面に落ちていく。地面は踏まれて汚れた羽で埋め尽くされていた。
それが何となく嫌だった。
「ったく、あんな短い距離なのに全身羽まみれだな」
「ごめん」
「いや、いい。メロンソーダ代で手を打とう」
「ふふっ、分かった」
代償が三百円のメロンソーダなら安い。
私達はひとまずカフェで休憩することにした。制服のスカートのポケットの中。機械的に震えるスマホに気づかないフリをして――。
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