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言葉の意味を確かめる。
今すぐ辞書で一つ一つの意味を調べたい。好きという単語の意味を再確認したい。
「……って、何固まってるんだよ」
「そんなの……」
「ずるいって?でも俺の胸の中はもういっぱいなんだよ。この羽みたいに。想いが降り積もって溢れちまってる」
「何よ、それ……」
至極単純な願いを持っているくせに、どうしてシンプルに語れないの?
(私だって同じ気持ちだよ――)
和希はじっと私を見ていた。返事を待っている。
私は密かに深呼吸をした。目の前の羽がふわりと舞う。
「私の胸の中もいっぱいだよ。和希。あなたと同じ想いで」
どうしてこんな言い方をしたのか分からない。これじゃあまるで私までロマンチストみたいだ。
でも、この景色にストレートな言葉は似合わない気がした。
「……嘘じゃないよな。合わせてない?」
「酷い。あなたこそ嘘じゃない?」
「そんなわけあるか」
「ほら、約束。果たされたんだからもっと喜びなよ」
「お前なぁ……。余韻ってもんがあるだろ」
不思議な感覚だった。
邪魔でしかなかった羽がこんなにも幻想的に見えるなんて。
「……ふふ。そういえば、どうして羽が降るのかって話したよね」
「ああ、さっきの?」
「あれね、おばあちゃんに教えてもらったことがあるんだ」
和希は目を丸くした。むき出しの好奇心を私に向けて。
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