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夢を見た。
とても楽しく充実した世界だった。そこが現実だと信じて疑わず、夢特有の奇想天外な展開や唐突な場面変化も、まるで日常の光景の一部分かの如く受け入れていた。
この日々が続いていく。自分には一切疑っていなかった。
ふと夢から覚めて、本物の現実に戻った。
あの世界が夢で、このつまらない世界が現実。
当たり前の事実だ。
だが、自分は受け入れられなかった。脳が、身体が、細胞の一つ一つ、自分を構成する全てが、この世界の現実を拒否した。
こんなところなど夢だ。あの世界こそ現実なのだ。
布団から出られなかった。もう一度夢の現実に戻ろうとした。
だが、出来なかった。
当然だろう。あの世界は所詮は夢。いくら拒絶しようとも、ここが本当の世界だという事実は変えられないのだから。
頭を無理矢理理解させた。半ば強引に納得させ、重い身体を無理矢理動かし、起床し、用事を済まし、一日を過ごした。
充実した一日だった。
だが、それでも夢の世界を忘れられなかった。
それほど、ただの夢とは思えない強烈な印象として、脳に刻み込まれていたのだ。
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