嘘つき

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嘘つき

君は昇降口にいた。土砂降りの校庭を前に困り顔でリュックを探っている。 「あのさ」 傘を広げて話しかけた瞬間、君は折りたたみ傘を見つけ出した。 驚いて見つめ合う僕ら。 ややあって彼女は傘をしまった。 「傘忘れたみたい。入れてくれる?」 「忘れたならしょうがないね」 傘の下、嘘つきたちの頬は赤い。
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