18.お前のものになりたいから(第1部 END)

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   マリッジライセンスを先に取得しておいて良かった! 教えてくれたのはタイラー。危うく結婚に辿り着けないとこだった。ライセンスの有効期間は60日。だから心配ない。  招待状のリストは、シェリーの言う通りにロジャーとチキンに預けた。  二人はいつの間にかコンビになっていた。不思議な組み合わせだと思ったけど、チキンはロイの比じゃないほどプログラミングに長けていて、すでに『ロジャーによる今日のニュース』なるキャンパス内の情報チャンネルを展開していた。独自のネットワークをロイも加わって3人で起ち上げたらしい。  キャンパス内の教会を式場に。僕の家族はこっちに来てくれる。大学の仲間たちからはカンパしてもらってるから、ギフトレジストリーは無し。  これ以上みんなから何か貰うわけにはいかないし、僕らにもそんなに必要なものが無い。  付添人は、僕はタイラーに。リッキーはチキンに頼んだ。たくさんの候補者はいたけど、リッキーの初めての本物の友人がいいと思ったんだ。 ☆………ミニメモ…………………☆ ※マリッジライセンス:式の際、牧師・神父・裁判官など結婚認可を与える権限を持つ人からサインをもらい、これを役所に提出する。 ※ギフトレジストリー:結婚祝い(プレゼント)のカタログ。結婚する二人がリストの中から選んだものをプレゼントする。 ☆……………………………………☆ 「あと、何考える?」 「うぅん……もう無ぇような気がする。それにシンプルに式を挙げられればそれでいいんだ。余計なことは要らねぇよ」  それには僕も同意見だ。 「じゃ、後は服を考えるだけだな」 「それもあまり考える必要無ぇよ、普通に白でいい」 「良かった! それも僕と同じ意見だ」  リッキーは見栄っ張りじゃない。うんと奥床しい。  タイラーの言う通り、昔のリッキーの面影はどんどん消えつつある。ギラギラした凄みのある妖しい笑みは浮かばなくなった。どこか厭世的で、鬱とした暗い影は過去の遺物。  今はただ笑い、泣き、我が儘を言い、そして甘えてくる愛しいリッキー。お前をただ僕は幸せにしたい。 ――お前とずっと一緒にいるよ―― ――Estare contigo para siempre. ―― (第1部 完)   
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