酒場の女

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 けして悪い言葉ではなかったと今でも思う。いや、寧ろ褒め称えたはずであった。  私が君にこうして手紙を書くのはこれが最初で最後だろう。それだけ私は困惑している。本当は来月迎える正月にでも帰った時に君と会って直接話そうかとも思ったが、どうにも先日起こったことが頭の内側に張り付いて夜もろくに寝られない。事は急を要している。  これまでの分を読んできっと君は欠伸をしていることだろう。そして苦笑していることだろう。話したいのに焦らしてしまう私の性格を十分に知っている君同様、私も君のことは熟知しているつもりだ。  しかし、君のことだ。あんまり焦らすと厭な顔をするからそろそろ本題に入ろう。あれは三日前、月が見え隠れする夜半のことだった。
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