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キリンジ Drifter
Blancちゃんのリクエスト キリンジ 『Drifter』
これは 普通にYouTubeで検索できますね
このような深い意味を内包する歌詞のある歌について論ずることは非常に難しくリクエストをいただいてから長い月日を経過してしまいました。
『Drifter』は「漂流者・放浪者・浮浪者」という意味です。
この難解な歌詞の意味についてはネットの中で多くの方が実に様々な解説を書き込んでおられますので、ここでは敢えて説明しません。
この重すぎる歌詞と比較的単調なメロディーとのバランスは万人向けの演出としては最良のものであるかもしれないが、欲を言えば、同じメロディーであっても繰り返し部分は、少しだけ歪みを持たせたコード進行にアレンジすると、より言葉のニュアンスを生々しく伝えることができないか・・・等 偉そうに思ってみたり(苦笑)
僕自身、間近に迫ったライブに向けて日々、歌の練習をしていて思うこと。
例えば、一つの音を4拍伸ばすとする。
その時、声を出す1拍目と4拍目までの間に、どれだけドラマを作れるかということが、歌全体の出来栄えを大きく変える。
クレッシェンドするにしても、くぐもった発音から鼻に抜け、そして透明な開かれた発音に変わるのか・・・
真っ直ぐ定規で引かれたような声をつなぐのか・・・
硬い音声からやわらかいあたたかい音声へと変化させるのか・・・
何を目的に、どんな発声を心掛けるのか、それによって歌の印象はまるで違ってくる。
キリンジの堀込氏の声は、どんな場合もカステラのような声だと僕は感じた。
カステラみたいに、ほわっとやわらかく、ふわっと甘く、均一である。
すなわち、淡いクリーム色の平和な歌声なんだ。
どんなに歌詞が重く硬く難解であろうと、そんなことに気を取られなければ、音楽としては実にポピュラーな優しさに満ちている。
不図、歌詞の意味を読み解こうとした物好きがいれば、いかようにも読み取れる深さを秘めているようにも感じられる面白みはある。
売れる歌は、音域的にもリズム的にもメロディーラインも素直でなければならない。
耳に残り、誰もが気軽に歌おうと思えば歌えるために。
何度も聞ける歌、流しておける歌であるためには、音質的に均一であることは非常に重要なポイントである。
商業施設内において、何時でも、何をしながらでも、どんなお客様にとってもうるさく感じない音楽でなければ流してもらえない。
そうした商業ベースから考察するなら、彼は非常に計算高い男である。
流行りの歌を必要としている10代~50代の現代人向けには、実に無難なタイトル、曲想であり、歌い方である。
僕が、この曲を好きかどうかと問われるなら、正直、特別好きでも嫌いでもない。
僕が、この曲という存在に対峙して思うことは、僕がいかに現代日本の平均的感覚から大幅にズレているかという、自分自身の在り方に対する反省でしかない。
どんな現代であれ、死ぬまで今を生きたいと思っているけれど、少しずつ今の風を吸い込む余裕を失いかけている自分に歯がゆさを覚える。
戦争が終結し、コロナが終息に向かい、自分自身の生活に時間的な余裕ができたら、もうすこし音楽的な冒険に挑戦してみたいと思う。
Blancちゃんの求めていた感想からは、きっとかけ離れたものになってしまったと思うけれど!
ありがとうございます。
こうした、自分の全く知らない音楽に触れる機会を与えて下さることに心から感謝申し上げます。
それは、自分の硬化した大脳皮質に風穴を開けることですから!
風穴、大事です。
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