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「へへっ、トノ政さんが強すぎて挑戦者は今回も雨太郎だけですぜ!」
「もう面倒だし相撲大会なんか廃止していいのにねえ!無敵なんだし!」
取り巻き連中はげこげこ騒いでいますが、トノ政はそうは思っていませんでした。
「黙れ。稽古の邪魔をするな!」
……雨太郎め、とうとう俺様のぶちかまし一撃じゃ倒せなくなりやがった。やればやる程強くなりやがる……面白れえ!
まあ、まだまだ弱っちい痩せがえるだがな。
実はトノ政は、誰よりも相撲大会を楽しみにしていたのです。
あいつはみんなに好かれてる。
カジカなんてありゃ惚れてやがる。
だが弱い奴は何も手に入れられないのさ。
もっと強くなって俺様にひと泡吹かせてみせろ!
トノ政にとって、カジカ達女の子よりも、ボスの座よりも。
好敵手との勝負ほど胸躍るものはなかったのです。
そこへ。
「な、なんだお前は……うわっ!」
取り巻き連中を吹き飛ばしながら訪ねて来た者がいます。
「横綱のトノ政ってあんたかい?
俺はウシオ。あんたに勝てばボスになれるって聞いたぞ」
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