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女性は言うだけ言うとやれやれと声に出してため息を吐きながら去って行った。一緒にエレベーターへ乗りたいわけでは無いが、終わらせるまで来るなと言わんばかりに手を振りエレベーターに乗り込んで行く姿には怒りを覚える。
美咲は仕方なくスタッフルームへ入ると、当然だがアンドロイドが横たわっている。
拾った時は興味惹かれたものの、調べるためにはメーカーか型番が分からなければいけない。だが見る限りどこにも記されていなかった。アンドロイドはボディの内部に刻まれていることも多いので、これは解体する必要がありそうだった。
「もういいや。警察に届けよ」
開発できない美咲ではやりようもなく、諦めてスマートフォンを手に取り警察へと電話を掛けた。
「あ、すみません。管理してるマンション内でアンドロイド拾ったんですけど所有者不明で。どうしたらいいですか?」
電話の向こうから警察があれこれと説明をし始めた。所有権など様々な問題があるため警察でも嫌がられるものだと聞いたことがある。警察は早口でマニュアルを読むかのようにぺらぺらと語り始めた。
「……え? え⁉」
警察の話を聞いて美咲は愕然とした。言うだけ言うと警察は一方的に電話を切り、美咲はくるりとアンドロイドに目をやった。壊れているので何も言わずただ座っている。
「まじか……」
美咲はごとりとスマートフォンを落として立ち尽くし、脳裏に過ったのは漆原だった。
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