episode 01. 導かれた運命の起動

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 インターネットでもSNSでも、名前を調べれば嫌というほど記事は出て来る。だがそれはどれも開発者というよりもモデルのようで、ステージに立つ姿や水着姿の写真まである。  一般人が彼を知るに至った経緯はアンドロイドエンジニアとしての技術や実績ではない。芸能活動の成功だ。  天は二物を与えたようで、高身長かつ整った顔立ちをしており、そのおかげで社内外問わずテレビやら雑誌やらに取り上げられ女性からは圧倒的な支持を得た。そして、美咲も例に漏れずのめり込んだのだ。  麻衣子は盛大にため息を吐き、スマホを取り出し漆原朔也の記事を検索した。  インターネットでもSNSでも、名前を調べれば嫌というほど記事は出て来る。だがそれはどれも開発者というよりもモデルのようで、ステージに立つ姿や水着姿の写真まであった。 「なにこれ。『とても学者とは思えない肉体美』って、学者が肉体美語る意味が分からないのだが?」 「開発でじっとしてること多いのにスタイル良いのはすごいじゃん……」 「そういうこと言ってんじゃないのよ。つーかどんだけ脱いでんのこの人」 「一応インタビューも載ってるわよ」 「一応ね」  グラビアの下にお情けばかりのインタビューも掲載されているが、どれもアンドロイドファッションに関わる記事だった。  本人の発言は『今後はボディと連携できて手軽に個性を付加できるファッションが不可欠』といった開発事業に関するものだ。  アンドロイドの服は繊細で、糸くずがボディ内部に入り込めばエラーを起こす。そのためデフォルトの数種類しかバリエーションが無かったが、ボディと生地に工夫をする事で多様な服を着せる事が可能になった。これが漆原朔也の名を世界に轟かせた最新のボディで、そのファッションまで手掛けるとして新たな話題を呼んでいる。  しかも人間と兼用できる物らしく、同じ服を着たイケメンアンドロイドとのツーショットも掲載されている。私服や浴衣、果ては水着まで。  インタビュアーは開発事業などそっちのけで、それを着こなす漆原朔也本人のルックスやスタイルについて熱弁するばかりだった。  麻衣子は呆れ顔だが、それでも美咲はその写真にのめり込んだ。
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