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5 マリ視点
テントの中は静寂と暗闇に包まれていた。
マリ、宗介、登美の三人は、寝袋に入っている。
マリは、悩んでいた。
彼女は、トオルを殺した犯人を知っている。
登美の言う外部犯ではない。
宗介の言う北斗でもない。
犯人は、奴だ。
しかし、マリはしくじった。
誰が犯人なのか知ったことを、犯人に感づかれてしまったのだ。
今は脅されて、身動きが取れない。
(どうすればいいの? わからない……)
恐ろしくて、頭が働かなかった。
しばらくして、寝袋の温かさにウトウトしていると、急にテントの中に冷たい風が入ってきた。
そのあまりの寒さにすっかり目を覚ましたマリは、上半身を起こし、状況を把握しようとした。
枕元にあった懐中電灯を手に持ち、スイッチをオンにする。
突然、マリの上に何か重い物が乗った。
グググ、と強い圧力。
支えきれず、彼女は床に倒れた。
声を出そうとしたが、口元が何かに覆われていて、駄目だった。
(まさか!)
マリは必死に身を捩った。
足をバタバタ動かす。
しかし、次の瞬間、胸に激痛が走った。
「んん!」
あまりの痛みに、彼女は動けなかった。
ただ、早く終わってくれと、そう願うことしか……。
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