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6 宗介視点
「マリ先輩! 大丈夫ですか!」
宗介の声が響いた。
テントの中は暗闇に包まれており、何も見えない。
「なにが起きてるの?」と登美の声。
宗介はテントの中に転がっていた懐中電灯を拾い上げ、中を照らした。
すると、彼の足元に、胸元に血を滲ませて倒れているマリの姿があった。
「うわ!?」登美の驚いた声が聞こえる。「マリちゃん!」
宗介はしゃがみこみ、彼女の首に触れて、脈を確かめようとした。
しかし……、
「駄目です」
「もう、なんなの! ちょっと、なにが、ぐ……。はあ、はあ、はあ……」
「登美先輩、落ち着いてください。一度、大きく深呼吸をして……」
しばらくして、登美は落ち着いた。
宗介は、自分のオレンジ色のジャケットを彼女に羽織らせると、懐中電灯でテントの出入り口を照らした。「テントの出入り口を見てください。開いています。犯人が外から入ってきたんです。……もう、下山しましょう。荒れた夜の雪山を下山するのは危険ですが、ここに留まるのはもっと危険です。……いいですね?」
「……うん」
宗介と登美は、荷物をまとめるとテントを出て、下山を開始した。
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