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許可
後日、私は上司に急遽休みをもらい、霊園の使用許可の申請の為、役所にきていた。
担当は、まちづくり整備課。
ここは、道路標識や信号の整備や設置、市立霊園の管理や運営、森林伐採の許可などを行っている。
私は当選葉書と茶封筒一式、印鑑、身分証明書を持参していた。
市立霊園に当選した事を伝え、渡された書類に住所や氏名、納骨する予定の人の名前やその人との関係などを記入する。
記入が終わり、職員からの説明を聞く。
そして、銀行で支払う振込用紙を受け取った。
支払い完了後、再度役場にその領収書を持参してくれとの事。
なんとも面倒な話である。
それなら、現代らしく電子決済やクレジットカードでその場で支払いをした方が早いだろうに。
が、私はクレジットカードを持っておらず、電子決済も使わない為、それはそれで困っていただろう。
役所を出た私は、そのまま最寄りの銀行へ行き、まずは窓口で子供の通帳から5万円だけ引き出した。
子供の通帳は口座を開設した時に、あえてキャッシュカードは作らなかった。
というのも、これは子供の通帳である。
成人した時に子供に渡し、そこから車を買うなり、学費や生活費に充てるなり、好きに使えばいい。
その時、子供自身が好きな暗証番号でキャッシュカードを作れるようにと考え、私は作らなかった。
その為、子供の通帳から預金を引き出すには、窓口にて引き出し手続きをする必要がある。
自分の口座から25万円を引き出し、子供の5万円を合わせて30万円。
私は再び窓口にて永代使用料の支払い手続きをした。
再度役所に戻り、今払ったばかりの支払い領収書を提出した。
5分ほどで使用許可書をもって職員がやってきた。
納骨をする際やお墓を建立する時に必要となるので、大切に保管してほしいとの事。
そして、納骨する際は役所に連絡をしなければならない事や、使用許可書の簡単な説明や注意事項を聞かされた。
なんにしても、これで市立霊園の当選区画は使用可能となったわけである。
3年間という期間のうちに、お墓を建立し、納骨をする必要があるが、それはまだ焦るほど短時間という事でもない。
ゆっくりと決めていきたい。
人生で何度も買うものでもなく、ましてやきっと安い買い物でもないだろう。
慎重に、じっくりと決める必要がある。
余談だが、永代使用料を支払った事により、私はすっからかんになってしまった。
こういう時ほど、実家暮らしでよかったと思うものである。
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