36人が本棚に入れています
本棚に追加
決定
2022年。夏
いまだ、新型コロナウイルスの脅威は続いている。
感染者数に波はあるものの、新たな株が発生しては猛威を振るっていた。
そんな中、2度目のお盆の時期になった。
私は、初盆の時に購入したお盆用の提灯などを飾り、先の見えない状況に対して、ある決意をした。
それは、お墓を早めに建立しようというもの。
お盆やお彼岸や年末年始。
ふと思い出した時や時間がある時。
妻にお花を供えたい、線香の1本でも手向けたい、近況の報告をしたい。
そんな風に思うのは、きっと私だけではないだろう。
たくさんの妻のお友達さんや、歌のお仲間さんも、同じ気持ちになるに違いない。
だが、こうも頻繁に新型コロナウイルスが猛威を振るっていては、私の家に来る事は難しいだろう。
そもそも、気を使うし気軽に行けるものでもない。
それが、お墓ならどうだろう。
納骨を終えたお墓ならば、新型コロナウイルスの最中でも問題はないだろうし、私に気を使う必要もなく気軽に足を運べるのではないか。
まだお別れの挨拶すらもしていない人がたくさんいる。
その人達が、自分の都合で足を運べる状況にする事も、私の役目ではないか。
そう思ったのだ。
半年経てば3回忌となる。
先行きの見えない現状を嘆くよりも、今、考えうる最善策をするべき。
ならば、3回忌を終えた後、納骨をしてはどうだろう。
時間はある。
お墓をじっくり考え、石屋を選ぶ時間も十分にある。
費用を工面する時間も必要だ。
今からすぐにでも動かなければならない。
お盆で帰ってきているだろう妻に報告し、私はすぐさまお墓建立に向けて動き出した。
最初のコメントを投稿しよう!